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『…本当にいいのかい、お嬢ちゃん…??』
額に汗をかいた中年の豆絞りがいかにも似合いそうな親父が 鏡越しに あたしに聞いてきた。
あたしの意志は変わらない。
おやじを真っ直ぐに見つめ 力強く応えた。
「ハイ!!」
「構いません!!」
おやじの深いため息が あたしの肩に触れる。
『 勿体無いよ。お嬢ちゃん…。』
『 こんなキレイな黒髪をさぁ…。』
さっさとやってくれないおやじにイラつきを感じ あたしは衝動的になった。
ジャキッ
ジャキッ
おやじから ハサミを取り上げ あたしは ざっくりと自分の長かった髪とおさらばした。
鈍い音だが あたしには爽快感さえあった。
『 もう 知らねえからなっ…』
もう おやじのため息がかかる髪はない。
おやじの仕事が始まる。
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