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「私には解るの。貴方が本当の高荻さんだって。」
彼の手首からクルクルロープを巻き取りながら私は言った。
「だけど…俺…また代わるかもしれないよ…。」
彼の顔が悲しみに歪む。
「…私も変わるもの…。」
「…え?」
「人は皆、色々な顔がある。
その時の気分や相手によって、
全然違う態度になる。
私だって…あんなに喚き散らしちゃったし…。」
「…それは…そういうのと俺…違うしさ…。」
寂しげに俯く。
私は巻き取ったロープを束ねた。
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