第五章~シャーネル救出戦~

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レミは全速力で走った。 辺り一面緑のない荒れ地を。 がむしゃらに駆けていた。 「バカ……」 頭に浮かぶ大樹のマヌケな面に向かって呟いた。 いつもそうだ。 脳天気でバカ。 変態な表情や言動。 そうやっていつも自分のことをごまかす。 確かにそれらは大樹の本質であることには違いない。 だが、大事なことは誰にも見せない。 全部隠す。 初めて大樹が泣いている姿を見た。 たまたま大樹の弱いところを見た。 「(どうして……)」 どうして彼はそんなにも自分を隠すのか。 何が彼をそこまで隠そうとするのか。 レミにはわからない。 人のことはうっとうしいぐらいに構うくせに。 自分自身のことはほっとく。 「ん゛っ!」 レミの足が止まる。 そして左胸をおさえる。 人工魔力原子の副作用だ。 「(私もながくない方だけど…………あなたに比べたらまだマシよ)」 自分の寿命の限界を改めて認識する。
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