第1章 出逢い

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「柊……どうかしたか?」 担任やクラスメートの視線がウチにいっせいに集まる しかし今のウチにはそんなこと気にはならなかった ウチには目の前の少年しか見えていない 漆黒髪は少し長めに切られてあり 身長もウチより少し高いくらいの小柄な体系 何度見ても見覚えがない 初対面なはずだ だってウチの記憶にないもの でも でも 物凄く懐かしいんだ どうしてだろう? この“堀崎潤”を見ると胸の中から何かが湧き出てくるような感覚にある まるで会うのを望んでいたかのようだ 違う、違う だってウチこの人のこと知らない 知らないのに…… どうしてこんな気持ちになるの? ふと、頬に何かが伝った 手を触れて見るとそれは水だった 「え?」 自分が泣いているのに気付いたのは数秒たってからだった ぽたぽた 涙は頬を伝い、ついには机に落ちる 自覚をしてしまえば 涙はどんどん溢れてきてしまった 止めようにも、拭っても拭っても涙は溢れてくる ウチは悲しいの? なんで? いや “悲しい”んじゃない この感情は “嬉しい”んだ
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