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「あら…まだお邪魔だったかしら?」
「変な気を使わなくても…大丈夫よ。ねぇ英明?」
そう言って深月はちらっと僕を見た。
「ええ。…あの…おばさん。おじさんに連絡は?」
「…もうすぐ来ると思うわ。」
話をしていた時、廊下をバタバタと走る音が聞こえ、病室の扉が開いた。
「み…深月!!大丈夫か?…母さんから聞いて…!!…英明君!!わざわざ来てくれたのか?ありがとう。」
「お父さん…大丈夫よ。…ちょっと苦しくなっただけ…。点滴も打ったし、楽になったの。…それと廊下は走らないでね。」
深月の父親はその場に座り込むと、息を調えながら何度も『よかった』と呟いた。
僕はふとさっきの深月の言葉を思い出した。
『こんな私でも後悔しない?』
二十歳になったら結婚しようと思う気持ちも、後悔しないと言ったのも嘘じゃない。
だが…今の深月を安心させるためにも、自己満足かも知れないが、今のうちに籍だけでも…と考えていた。
自分の家族には深月と付き合ってる事も、結婚したいと思ってる事も告げていたが、一切反対はされなかった。
幼なじみと言う事もあり、深月の病気も性格も知っていたからだろう。
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