僕は終焉を待つ

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僕は終焉を待つ

朝、目が覚めるといつもの見慣れた天井だった。 毎日同じ景色である。 観葉植物は部屋の角にあって、壁掛け時計の針は午前5時を指している。 重たい腰を上げ、着なれたスーツに袖を通せば、幾分かは気分が和らぐ。 使命感が私の心を殺してくれる。 「何か変わったことはないか?」 毎朝起床してからすることはと言えば、同僚の柏木(かしわぎ)への連絡だ。 携帯端末越しの彼は今日も、 「何もありません。」 と答えた。 かれこれ30年も同じやり取りを続けている。 声に元気がなく、疲れ果ててしまっているようだ。 朝からこのような調子では一日が辛いが、ニュースを見ても気を紛らわせてくれるものはない。 トップニュースが結婚、熱愛報道だったりというのは、めっきり見なくなってしまった。 昨日もどこかの国で罪もない民間人が無差別テロで死んでいるとのこと。 「悲しい。」 ぽつり、吐き出す。 人の心はいつからか余裕を失ってしまった。 余裕がないから人を弄ぶのだと私は思う。 仕事に向かうとするか。 自動ドアが開けば、そこは職場だ。
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