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灰色髪の紳士改めクライム、彼に言われるがままに、この曰く管制支部エントランスから、二階通路へと移動して行く俺達有象無象ピープル。
群集から離れ、観葉植物と戯れていた関係上、俺はその人々の列のほとんど最後尾と言っても過言ではなかろう。
数百人とは言え、エントランスもそりゃー広いもんだから、階段だってそりゃー大きい。
前に漠然ながら順々に列ぶ人々を、俺は視界に捉えているわけであるが、憚りも、滞りもなく滔々と歩みが進む。
さして時間を待たずして二階の廊下へと到着。
クライムに「奥のデバイスゲートへ」そう促され、了解の意を宿し、小さく頷いてやる。
そんでもって廊下の奥へと目を向けてやると――おおう、何なのだあれは。
今もって俺の前方に列んでいた人々が、そのデバイスゲートというヤツであろう、金色の細かい装飾の成された縁取りの中、ボンヤリと白くけぶるゲート(むしろゲートと聞かされてなけりゃ、俺にゃ膜に見えたな)が。
こりゃまた面妖な、と興味本位で近付き、気付く。
決して大きな音でこそなかれ、バチバチと電磁的な特徴を示唆する効果音。
成る程、デバイスゲートとは良く言ったものである。
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