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デバイスゲートを通ってやったは良いものの。
あらやだ、奥さん。ホントに何も感じなかったわよ。と壮絶な喪失感。
カミナはデバイスゲートの横に取り付けられた電子パネルに何やら色々と表示されているらしい、恐らくは俺の個人情報に目を通すと、
「ククッ。……やはり、お前だったのか」
「は? ええっと?」
「いや、コッチの話だ。――“シオン”か。大した救世主もいたもんだ、と思ってな」
そう言って、意地悪くクスクスと笑うカミナなのであった。
いや、確かに俺はシオンだけど? というか、あの、救世主?
困惑、返答に窮する俺を尻目に、カミナはいつの間に後ろに居たのだろう、クライムに話し掛ける。
「そういうことだ、クライム。私達の、いや、リバースワールドの救世主様シオンのご到着だぞ」
このアマ、失笑しながら話すでない。
皮肉っつーか、俺が小ばかにされてるの丸分かり。
それを聞いてクライムもハハ、と何処か引き攣った笑顔で。
「ようこそ、シオンさん。すみませんが、貴方にこの世界での安寧なセカンドライフはご提供出来そうにありません。……貴方はこのリバースワールドの救世主のようなので」
と、仰々しく意味深長に、そうして著しく理解し難い台詞を発するのだ。
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