ステアライズ

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  「シオンさん、こちらです」 「ここが、ステアライズの会議室?」 「ええ、本日着けでステアライズの新メンバーが送られてくることは決まってましたから。今日は皆さんお揃いですよ」 「お、送られ? ああ、まぁ良いけどさ」  とある一室、ドアの前。  曰く、このリバースワールドとか言うおっかなびっくり世界における、特殊自治警団ステアライズの作戦会議室。  そんでもってステアライズにゃ選ばれた者しか入れないらしいのだが、何をどうしたこって、俺もソイツに選ばれたらしい。  は? 理由? 俺が聞きてーですし。  クライムったら多くは語らないのね、まったく。  デバイスゲートを通過後、俺の個人情報を俯瞰し、ほくそ笑みつつ黒薔薇ことカミナは言った。「とんだ救世主もいたもんだな」――と。  そうして黒薔薇の付添人クライム(話を聞けばステアライズにおける取締役ってのはリーダーに準ずるものであるらしい。つまりクライムは副、カミナはリーダーなのだ)に連れられ、このだだっ広い予備校宜しく、オフィスビルディング内を歩くこと約10分。  隅々まで掃除の行き届いたタイル張りの廊下、そいつもボチボチ見慣れたなぁってな頃合いに、クライムは一室の前で立ち止まり、先の台詞を言うに至ったって訳。
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