プロローグ

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   生憎なことに、現在って呼ばれていた時間が、果たしていつのことであったのか、俺は正確には記憶していない。  いや、もしかしたら“表の世界”の記憶はその必要性の消滅に伴ってなくなったのかもしれない。  だって今の俺にそんなもん必要ねーですし。  いきなり脈絡の無い文面で申し訳ない。ただ今暫くお付き合い願いたい。どうにも愚痴の一つや二つ、こぼさずにはいられない事態なのである。  今の俺に与えられた現実は裏、反転した世界。  頑なに閉じた瞼を開けると、暫し真白く徹した世界は緩慢と全景を現す――そう、そこは見知らぬ世界であった。  ――世界はその表情をガラリと変える。 『Double:Face』  ――表裏の反転した、もうひとつの世界。
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