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結果的には俺も周囲同様、その喧騒の一端を担う形となって「はぁー」と、只々感心して辺りを見回していた。
だってよ、そうは言ったってとんでもなく広いんだぜ?
見たところ俺以外にも数百人近い人間がここに収容されちゃあいるけども、飽和状態なんて更々。
俺の既知の語彙から斟酌するならば、立派な予備校止まりのここは、俺の知ってる予備校よりも、何倍、何十倍もスケールが大きくて。
かくて。
俺が起きてから数分が経過しただろうか、周囲を見回しても、もう全員の人が意識を取り戻したかもしれん。
辺りの景観にもボチボチ慣れ始め、一部の人々はエントランス内を探索してたりなんかする。特にフロアの中央からどこまでも奥に続いていそうな廊下にはみな興味があるご様子。
かくいう俺もエントランスの隅に置かれた観葉植物を相手に「あーこれ、造花じゃねーのな」なんて具合。
そんな若干の自由時間を収集付けたのは、鶴の一声。
恐らくは拡声器であろう、エントランスにキーンと響く、女性の罵声宜しく号令であった。
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