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「おう、おめえらぁ! よく来た、よく聞けぇ!」
女性としてはやや低めの、しかし耳をつんざくような可愛げのない音量で。
エントランス、その二階。整備された手摺り越しにその声の主となる女性は仁王立ちしていた。
腰まで伸びた艶やかな黒髪に、色白な肌が対照的なコントラスト。
つり目に切れ目、たった今の口調からも察することが出来る、例を見ない強気な感じが滲み出た容姿の彼女は、しかしどうしたことか、紛れも無い、抜群に美人である。
性別なんて些細な枠組みを越えて、一瞬の間、誰しもが彼女に魅入った。と思う。
エントランスをシンと静寂が支配する。
その様子にご満悦したのか、薄いピンク色の唇、その両端がフッと吊り上がると、
「諸君、“リバースワールド”へようこそ! 表の世界のお前らの肉体は死んだ、ここは残った精神の織り成す、科学的電脳世界とでも言おうか。 ともかく! 諸君はこのリバースワールドで第二の人生を歩み出すこととなる。歓迎するぞ!」
そのバツグンに美人な女性は、そんなバツグンに意味のわからないことを言うのであった。
相も変わらぬ爆音で。
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