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のりこは一瞬、何が起こったのかわからなかった。
だが即座に下腹部に激痛が走り、のりこはゆっくりと視線を下に向けた。
『……何……これ……』
自分の腹に、銀色のナイフが刺さっていた。
そして、刺された場所から徐々に赤い血が滲み出てきて、のりこの服を真っ赤に染めていく。
のりこは、まるで初めて自分の血を見るように、鮮血に染まる服を見つめた。
『血って……こんなに赤かったかしら……』
頭が正常に働かない。
何か、映画でも見ているような錯覚を覚える。
現実の出来事ではないような……。
他人事のような……。
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