鮮血~エピローグ~

3/3
前へ
/75ページ
次へ
ぐらっと立ちくらみを起こして、のりこはその場に膝をついた。 断続的な痛みがのりこを現実に引き戻した。 『──刺された?私は刺されたの?』 のりこは、ゆっくりと顔を上げた。 そこには、憎悪のこもった瞳で見下ろす、冷たい表情の人物の姿があった。 「ど、どう……して……」 のりこはかすれる声で問い掛けた。 「あなたが……あなたが悪いのよ……」 のりこを刺した人物は、囁くように呟いた。 やがてのりこは、立ち膝でもいられなくなり、その場に崩れ落ちた。 出血多量で意識が遠くなっていく中でのりこは、自分に向けられた恨み言を、念仏のように聞かされた。 そしてのりこは、理不尽な思いを残したまま、その短い生涯の幕を下ろした。
/75ページ

最初のコメントを投稿しよう!

98人が本棚に入れています
本棚に追加