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「それじゃ、愛美さん。失礼します」
軽く会釈をして、家に駆け寄ったその時、
「葵ちゃんをよろしくねぇ~?」
愛美さんのベクトルのズレた一言に思わず転びそうになる。
「早くしなさいよ!!」
「はいはい」
自宅の鍵をポケットから出し、玄関の扉を開ける。
扉を開けて飛び込んできたのは懐かしい家の匂い…ではなくものすごい量の埃だった。
「流石に5年も使ってないと酷いな…」
「これはまず掃除からね…。
掃除道具は?」
「えーと、清掃用具…。あった」
引っ越し業者が渡した紙の束から「グループ名称:清掃用具」と書かれた紙を見つけ、その紙を玄関に置き、書かれた魔方陣に魔力をこめる。
すると紙に納品日の印がだんだんと印されていくと同時に、段ボール箱が一つ紙から2・3センチ離れたところに構成されていく。
これが、「白イヌ魔法引っ越しセンター」の特許、即座に出来る魔力引っ越しシステムだ。
「あっと言う間に♪出来上~が~り~♪」
白イヌのCMソングを口ずさみながら、構成された段ボール箱には「清掃用具」と書かれた紙が貼られており、中身には雑巾や箒、はたき等が入っている。
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