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新しい家への引っ越し作業が済み、後は俺が家に向かうだけになった。
「ほら、蒼介(ソウスケ)。もうすぐ着くぞ?」
少し古い型の魔力車に乗っての移動中に揺れの心地よさからどうやら寝てしまったようだ。
「…ん、わかった」
俺、神楽 蒼介(カグラ ソウスケ)の両親は俺が10歳の頃、交通事故で他界、それ以来、少し遠い地域にあった叔父の家で育てられてきた。
引っ越しは俺が高等部に上がるとき少しワガママをいい、通う高校から近い、昔の家に一人で住みたいと言い出したのがキッカケだった。
車が家の前で停まり、ドアを開く。
「ありがとね。叔父さん」
「いや、なんてこと無いっての。
それより蒼介、本当に一人で良いのか?」
「うん。どうせ高等部卒業したら一人で暮らす気だったし」
「そうか…、じゃあ何かあったらすぐに連絡するんだぞ?」
いつもサバサバしてた叔父さんもこの時ばかりは心配そうな顔をする。
「分かってるって。
それより叔父さんも寂しくなったら電話するんだぞ?なーんて」
「チクショウ、大の大人をからかいやがって!!」
叔父さんがカラカラと笑いながら軽く頭を小突く。
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