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きっかけは、仕事先であった飲み会だった。
あの屈託ない笑顔で「家に来いよ」って言われたら断れなかった。
―……
「終電ない!」
気付けば時間は、とっくに夜中の12時を回っていた。
途方に暮れていると、大好きな中谷さんが声をかけてくれた。
「なに?終電見逃しちゃったの?」
「あ、中谷さん。
そうなんですよ……。
仕方ないんで、タクシーで帰ります。」
お酒の酔いも程よく回り、大好きな中谷さんに声をかけられた嬉しさから、終電を見逃したという重大なミスも忘れかけながら答えた。
「お前、明日勤務なに?」
「休みですけど」
「……じゃぁ、家来る?」
飲み会も終盤に近づき他の職員たちは盛り上がっている。
そんな煩さの中、コッソリと行われた会話。
「……え?」
聞こえたけど、聞き返す。
だって、嬉しかったから。
「家来る?」
さっきと同じように返ってくる返答。
「いいんですか?」
「いいよ、俺の家近いし。
お前の家遠いだろ?」
「いや、まぁそうですけど」
車で約20分の所に住んでる私。
飲み会の店からだと最低でも30分以上はかかるだろう。
タクシー代ももったいないし、ここは甘えようかな?「じゃあ、お邪魔します。
明日の勤務大丈夫ですか?」
「大丈夫、夜勤だし。」
「じゃあ、本当にお邪魔します」
私は、嬉しさを隠し切れないまま笑顔で答えた。
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