一章

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「何飲む?」 中谷さんが住んでいるマンションの一室に通され、二人でマッタリタイム………と言いたいけれど私は緊張してマッタリなんて出来ていない。 「あっ、遠慮なく!私にかにゃまずに!」 ………緊張しすぎて、噛みました。 「かにゃまずにって!かにゃまずに! ふっ…………はははははっ!」 ツボに入ったのか、お腹を抱えて笑う中谷さん。 恥ずかしい……… 「笑いすぎですよ、中谷さん!」 「だって!かにゃまずにって!」 「…だって、お前…ふっははは、かにゃまずに……」 まだ笑う中谷さん。 帰りたくなってきた……。 「………帰ってもいいですか」 「だーめ。……痴漢に襲われたいなら帰ってもいいよ」 涙を流しながら、ニヤニヤ答える中谷さん。 笑いは治まったみたいだけど。 「笑いすぎですってば!………ってこの辺痴漢いるんですか!?」 「たまにね。いわゆる露出狂ってやつだよ」 「こわーい……」 「大丈夫、安心しろ。 お前を襲うやつなんていないから」 「ひっどーい!」 ふっと優しい顔になり、そんなことないよ、と言った中谷さん。 何だかそう言った中谷さんが心底楽しんでいるような気がした。 .
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