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主人公の名前は『鬼風丸』。
キフウマル、と音読する。
鬼風丸は最後に死ぬ。
親友に殺されて死ぬ。
この物語は、そんな主人公の幼少期から始まる。
鬼風丸は、鬼である『角兵衛(カクベエ)』と人間の『お絹』という女性の間に生まれた。
「鬼風丸~!遊ぼ~!」
「うん!ちょっと待ってて!」
鬼風丸は急いでご飯を平らげると、元気良く家を飛び出した。
鬼風丸、五歳。
鬼を父に持つゆえ体は並外れて大きい、
というわけでもない。
確かに犬歯は人と比べると大きい。
角もある事はあるが、頭の髪の毛をかき分け探して、やっとポチっと角らしきものが二個あるぐらいである。
見た目は殆ど人間の子供となんら変わりない。
「待ちなさい!」
鬼風丸の襟首をがっしりと掴む手があった。
鬼風丸の母、お絹である。
「ちゃんと食べ終わったら片付けるって約束でしょ!」
お絹、
身の丈が六尺(約180センチ)ある。
肩幅もお絹の頑丈さを表現するようにガッチリとしている。
まさに『鬼の嫁』と呼ぶに相応しい体格の持ち主であった。
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