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この世に無限なんて物は存在しない。仮に在ったとしても、それは彼自身の様な世界から外れた存在そのものにのみ適用されるべきであり、間違っても彼の内包物に適用される単語ではない。
細身で、見ようによっては女性の様に華奢な身体。絶えず嘔吐し続ければ底が尽きるのは道理と言える。
数十分も経たないうちに、白濁色の吐瀉物は鮮血に代わり、辺りは再び血で埋め尽された。
「ハァッヅ! アガァッ!!」
吐血が収まる兆しは無い。常人なら優に致死量を超える量の出血量。しかし、彼の種族は宇宙随一の治癒力再生力を保持する死神ノ民。
たかが吐血程度の出血量で死ぬ事は出来ない。
止まる事の無い吐血、死に至らないとは言え、痛みを感じないわけではない。寧ろ、臓腑を傷付け吐血する、痛みで絶叫しまた吐血する頃にはその箇所は治癒されている。
終る事亡き激痛の連鎖。
然し、この激痛こそが現状唯一のトランキライザー、この様な激痛を味わっていなければ先に精神が崩壊する。それ程までに彼の精神は追い詰められていた。
とはいえ……所詮は付け焼き刃の朝三暮四にすぎない。
“死”を回避する事は不可能。
ただそれが、肉体的なのか精神的なのか、それだけ。
「ヴヮェア゙ア゙……ア゙」
彼は漸く……一度死ねた。
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