逮捕状

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 長い廊下を急ぎながら、あの塔が出来た頃にイメージしていた近未来像を思い浮かべた。動く廊下や未来的な衣装など様々な想像をしていたのがことごとく外れ、今でも服装はあの当時とそれほど変化はなく、私は背広にネクタイ、そして、革靴を履いていた。  無機質な扉を一つ、二つと横目で確認しながら、そういえば、近未来にイメージしていた物で実現した物もあったなと思い直す。私が先ほど連絡を受けた携帯電話などもその一つだろう。携帯電話は今では生まれた時から人々に一つ与えられる様になったのだ。そして、それは手で持つ必要もない。首の後ろに穴を開け、そこに携帯電話とは名ばかりの小さな送受信機から伸びたプラグを差し込むことによって直接脳波へと電波を送る。それによって会話をすることが出来るのだ。もちろん、その受信機は固定されているため、手で持つ必要もない。
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