舞い降りた地獄

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足掻き続けたベンゼンの死に様は、あまりに呆気なかった。 痛みに声を上げることもなく、逃げ回ることもなく、怒りの言葉を残すこともなく、ただ、無音で姿を消したのだ。 他のクリーチャーと同じように、液体となって消えただけ。 園田は、空中に持ち上げられていたため、ベンゼンが消えたことで落下し、尻餅を着いた。 しかし、痛みでそこに座り続けることはせず、すぐに立ち上がり、新木の方へと走り出した。 倒れた新木の姿を見るなり、園田は絶句した。 「お……おい………… なぁ……起きろよ…………」 新木は、園田に呼ばれて、目をうっすらと開いた。 しかし、爆発によって下半身は全て無くなってしまっていて、右腕も二の腕から先が契れて、近くに転がっている。 園田の声に反応できたことが、奇跡であるかのような状態だ。
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