舞い降りた地獄

56/69
前へ
/747ページ
次へ
ベンゼンが前足を振った瞬間、反射的に腕を前に出し、顔はどうにか守り切った新木だが、胴体や太股に血を受けてしまい、新木はその場に崩れ落ちた。 「真奈美!!」 園田は新木に声を掛けるが、新木の反応は無い。 すぐに駆け寄ってやりたい気持ちであったが、間にベンゼンが立ちはだかっているため、迂闊に動けない。 「ククク…… 貴様はまた、似たような状況になったな。 仲間がいなくなって、一人でこうして死を待つのみ。 前回は殺し損ねたが、今度こそ貴様を殺せる」 「やっぱり、お前、ベンゼンか」 紫色の光線を見て、園田はずっとベンゼンだろうと予想はしていたが、殺し損ねたというベンゼンの言葉が、園田にそう確信させた。 ただ、園田は、この前と同じ状況だとは思っていない。
/747ページ

最初のコメントを投稿しよう!

1221人が本棚に入れています
本棚に追加