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園田と同じ列の、テレビに一番近いベッド、則ち園田が今立っている場所の真後ろに、同じくスーツを着た同年代の女性が起き上がり、ベッドの縁に腰掛けていた。 髪の毛は限りなく黒に近い焦げ茶色で、腰の辺りまで伸びている。 「あ、悪い。 起こした?」 園田は振り返り、女性の姿を見て言った。 「ううん。 ずっと前から起きてた。 誰も起きてなかったし、寝っころがってただけ」 女性の方も、顔付きから園田が同年代だと察し、敬語を使わずに返す。 人間、初対面の時とは大切なものだ。 こうして初めての会話でため口で話せば、これからもそうであろう。 ただ、最初に敬語を使えば、またそれもしばらくは変わらないはずだ。
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