舞い降りた地獄

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ベンゼンは、倒れた新木を確認すると、もう一度園田に向き直し、また大きく口を開いた。 いつもなら、ここでまた、相手を見下すような発言をするベンゼンだが、今回ばかりはそのようなことは無かった。 ベンゼンというクリーチャーが、死を間近に感じた瞬間だったのだ。 口を大きく開けたまま、ベンゼンは園田に顔を寄せていく。 もう、光線を撃つ気は無いのだ。 そのまま、園田の頭に噛みついて殺すつもりだ。 ベンゼンは、やっとたどり着いた勝利を噛み締めるかのように、ゆっくりと頭を園田に近付けていった。 今に、ベンゼンの鋭い牙がが園田の頭に刺さるのではないか、という瞬間だった。 突然、部屋に大きな爆音が響いたのだ。 それと同時に、ベンゼンも悲痛の声を上げる。 何が起こったのかは、先程よりもさらに深い傷を負い、違う所に倒れている新木の体、そしてベンゼンの尻尾の有り様から確認出来た。 新木が力を振り絞り、剣の先を、ベンゼンの尻尾に突き刺したのだ。
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