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「……あぁ……忘れないよ……絶対」
結局園田が絞り出したのは、新木を諦めた一言だった。
それでも、それは新木の一番欲しかった答でもある。
「ありがとう」
新木はそう言って、ほとんど感覚も無いのに、笑顔を見せた。
その笑顔を見て、園田はついに実感した。
新木が死ぬのだと。
もうこれ以降、新木に会うことは出来ないのだと。
一度そう思ってしまうと、園田の瞳に溜まった涙を、止める術は無かった。
「泣いてるの?」
目を大きく開くことも出来ない新木は、園田のすすり泣く声を聞いて、そう質問した。
「だって…………お前が……」
園田は止まらない涙を止めようと、目を擦りながら答えた。
しかし、その答が新木には不服だったようだ。
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