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学生寮の周辺にあるパン屋の前で、ぼーっと立っていると、空が光り、大きな音をたてた。
それとほぼ同時に、俺の肩がビクンッと反応する。
…格好悪いけど無理なんだよ。
大きい音とか、ほら…落雷した時の被害を考えていると…
「…さん。」
「あ…?」
今何か聞こえたような…
「そこの格好良いお兄さん、手ぇ出して。」
鈴の音のような可愛らしい声だと思った。
その声は、長い黒髪の美少女のものだった。
…いつのまに隣に?
「ほら、早く。」
手を出せと、困惑する俺を急かす。
「…………ん。」
俺は、隣にいる少女に左手を差し出す。
すると少女は、鞄をひっくり返し、中から大量の飴が降ってきた。
左手に収まらなかった飴は、コン、と音をたてて落ちる。
「…え、あ、あの…?」
「飴玉。お兄さん元気ないみたいだから。」
ああ、飴くれたのか。
「ありがとう。」
「どういたしまして。」
………じゃ、ないだろう、俺。
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