相合い傘

4/7

1人が本棚に入れています
本棚に追加
/7ページ
学生寮の周辺にあるパン屋の前で、ぼーっと立っていると、空が光り、大きな音をたてた。 それとほぼ同時に、俺の肩がビクンッと反応する。 …格好悪いけど無理なんだよ。 大きい音とか、ほら…落雷した時の被害を考えていると… 「…さん。」 「あ…?」 今何か聞こえたような… 「そこの格好良いお兄さん、手ぇ出して。」 鈴の音のような可愛らしい声だと思った。 その声は、長い黒髪の美少女のものだった。 …いつのまに隣に? 「ほら、早く。」 手を出せと、困惑する俺を急かす。 「…………ん。」 俺は、隣にいる少女に左手を差し出す。 すると少女は、鞄をひっくり返し、中から大量の飴が降ってきた。 左手に収まらなかった飴は、コン、と音をたてて落ちる。 「…え、あ、あの…?」 「飴玉。お兄さん元気ないみたいだから。」 ああ、飴くれたのか。 「ありがとう。」 「どういたしまして。」 ………じゃ、ないだろう、俺。
/7ページ

最初のコメントを投稿しよう!

1人が本棚に入れています
本棚に追加