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いろいろツッコミたいことがありすぎて、俺は今だ困惑しつつも、少女からもらった飴の包装を破いた。
口に入れた瞬間じんわりとした甘さと、苺の香りが広がる。
俺は、口に入っている飴をコロコロと転がしながら、止みそうにない雨をじーっと見る。
隣にいる少女は、そんな俺を目を輝かせながら見ている。
………何なんだ。
そう思っていると、少女は口を開いた。
「…好きだ。」
ああ、耳鼻科行った方がいいかな。
初対面の女の子が、いきなり告白なんて…
「お兄さん名前は?誕生日いつ?好きなものは?逆に嫌いなものは?」
「待て、何だって?」
今の状況に、頭が追いつかない。
「…私、お兄さんに一目惚れしたから、お兄さんのこと知ろうと思って。」
「ああ、そういうこと。…俺は東堂 光。誕生日は…じゃ、ないだろ!」
俺が大きな声をあげると、少女は目をクリクリさせる。
「東堂 光?大学生の?」
「え、ああ、そうだけど…」
どうやら、大きな声にビックリしたわけではなく、俺が東堂 光であることに驚いてるようだ。
つか、何故この子は俺を知ってるんだ…。
「年上だと思ったけど、東堂くんか。私、同じ大学の芸術科の芳村 透音。」
「芳村…?」
ああ、そういえば“すくね”なんて珍しい名前だな、とか思って、しばらくの間覚えてたような…
「…俺、てっきり年下かと。」
「いや、いいんだよ。謝らないで。…謝らなくていいから、返事を頂戴?」
ああ、頭が痛い。
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