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「あ、東堂くん、そういえばさ、何で傘持ってるのに雨宿りなんかしてるの?」
「そ、それは…」
「雷苦手だから?」
何故わかるんだ…!?
「さっき、雷に驚いてたから、まさかなぁ…とは思ったけど、東堂くん雷苦手なんだね。」
「言うな。」
恥ずかしい…
顔が熱い。今、俺の顔は茹で蛸みたいに真っ赤だろう。
「あ、照れてる。わかりやすいな、東堂くんは。」
「うるさい、黙れ、そして忘れてくれ。」
そういうと、芳村は笑いながら言った。
「しょうがないなぁ、私が東堂くんの傘に入ってあげようじゃないか。」
「お前、早く帰りたいだけだろ…」
芳村は俺から傘を奪って、傘を差した。
「ほら、一人より二人の方が怖くないよ。…もし落雷したとしても、二人で死んだ方が寂しくないでしょ。」
俺は、芳村から傘を取り戻した。
キョトンとする芳村に、俺は言った。
「傘、入ってくんだろう?」
そう言うと、芳村は嬉しそうに笑った。
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