出逢い

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彼女はおとなしそうで、とてもバリバリと営業するタイプには見えなかった。しかしとても可愛いらしかった。 案の定彼女の方からは話し掛けてはこなかったが、物珍しさでか、彼女のルックスのせいか、はたまた醸し出す雰囲気か、朝礼が終わると社員たちが取り囲んで質問攻めにしていた。 「何処に住んでるの?」「へー近いんだねー」「何歳?」「えー若く見られるでしょ!」「結婚してるの?」 「え?そんな大きなお子さんが居るの!?」 私はその光景を横目に見ながら外回りの準備を始めたが、本当は話し掛けたかった。 でもうまい言葉が見つからなかった。 横から聞いた話では彼女は20代後半で前職も営業だったらしい。 「経験者なら大丈夫か。」と密かに安心している自分が居た。何故か気になる… 「関係ない関係ない、自分は自分。人の心配してる余裕なんてないよ!」 私は自分にそう 言い聞かせて会社を後にした。
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