出逢い

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その日はまずまずの成果を残し私は会社に戻った。 私の名前がボードに載っている。 しかし彼女の名前が無い。 「新垣さんはどうでしたか?」と私が尋ねると「まあ初日だからねえ。仕方ないでしょう。」と上司は唸っている。契約社員の彼女はもうとっくに上がって帰ってしまったらしい。少し残念な気がした。 翌日はいつもと違う新鮮な気分で朝がきた。「新しい人も入ってきたし、頑張らないと格好わるいよな!」私は少し「張り」を感じていた。「よし頑張ろ!」 出社すると彼女はそこに居た。 「おはようございます。」と普通に挨拶するがどこかぎこちない。 自己紹介がまだだった事に気づいた私は「山下です、宜しくお願いします。分からない事があったらなんでも聞いて下さいね。」と爽やかな笑顔で挨拶した。 「はい。」伏し目がちな彼女。 「昨日はどうでした?」と聞くと、「うん。イマイチだったかなあ。」 「誰と回ったんですか?」 「田中さんと。」 「どの辺行ったんですか?」 「亀有。」………?? 何か変だ。私が敬語を使ってるのに彼女はタメ口だ。 「他のみんなはどうやってるのかなあ?」と彼女が言った所で…私は呆気にとられた。「話し方がまるでダメだこの人…。」 私は少しがっかりした。 そしてどうやら他の社員もその事に気付いたのか、彼女に話し掛ける者は減っていった。 「新垣さんてさあ、失礼だよね。」「あれじゃ村野さんが怒るの無理ないよ。」 どうやら事務のお局様にもこの調子で話して怒りを買ってしまったらしい…。 私も少し様子を見る事にした。
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