序章

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―――カキーン! 太陽がサンサンと照り付ける青空の下、椿丘高等学校グラウンドで野球部は練習をしていた。 それを見学している女子生徒は、キャーキャー言いながら練習を見ている。 すると、女子生徒の一人が男所帯の中に女が一人いるのを発見し、指を指しながら隣の女子生徒に話した。 「ちょっとちょっと!」 「何よ?なんかあった?」 「あそこに女がいる!」 「……はぁ!?」 声を掛けられた女子生徒Aは、ガシャン!と音を発てながらフェンスを掴んだ。 「ほら!あそこあそこ!!」 「……何アイツ!!つか、あれ転校生じゃね!?清々しい顔して立っちゃって!!」 「男好きなんじゃないの!?椿高の野球部って弱いくせにイケメン揃いだから!!」 声を掛けた女Bは、マネージャーあろう女を睨みながら、サラリとひどいこと言った気がするが…黙っておこう。怖いから。 「うわっ!!気持ち悪く笑ってる!何あれ!アイツがマネージャーって危険すぎるっ!!」 「転校生のくせに調子乗ってない?イジメたくなってきた…今日呼び出しちゃおっかな~」 はいはい、これがまさにイケメン野球部のマネージャーリンチですね。分かります分かります。 だが次の瞬間、見たこともない光景に二人は唖然とした。 「ダラダラすんなぁあぁあぁあ!!暑い?暑いですかぁ!?暑くて苦しいって言えぇえ!!それが私の快感だからぁあぁあ!!」 マネージャーらしき女は、変なこと言いながら竹刀をバンバン叩く。 「……あれが…マネージャー?」 「こ、こわっ!!」 よく某小説や某漫画とかの野球部マネージャーと言ったら優しくて、か弱くて、洗濯や掃除を一生懸命やる…と、すごく可愛いイメージがあるだろう。 ………が、椿丘高等学校の野球部マネージャーは違います。 洗濯・掃除はほんのちょっぴりするだけ、監督やコーチよりスパルタ……まさに……… ――――鬼マネージャー! 鬼マネージャーこと、 伊藤 加菜(いとう かな)は一応この物語の主人公。 さぁ、これから青春の1ページをめくろうとしている椿丘高等学校野球部と、鬼マネージャーの熱い闘いが………始まります!  
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