老人は星を視つめる

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 ある日見つけた少女の瞳は暗く黒く濁って、不可視の膜がかかっているようであった。  銃を手にした少女の細腕は傷にまみれ、折れそうに見えた。  少女の目には疑問と恐れが数多の雫となって堕ちていく。  そしてその場で崩れ落ちた少女は自分の頭に銃を押し付け、止める間もなく引金を引いてしまった。  しかし弾は切れていたようで私は胸を撫で下ろし、少女は泣き叫び衛兵に連れて行かれる。行かれた。私は見ているだけだった。  いざとなると行動もできない。  ある時見つけた青年の両腕はなく、まるで歪な芋虫のように見えた。しかし口に筆をくわえた青年の目は光に満ち溢れ、簡単に折れそうには見えなかった。  青年の目には未来と希望に満ち、私は眩しさに目を細める。  そして彼はその場で膝を下ろし、青年は失った両手を胸の前で組んで神に祈りを捧げたのだった。  光が彼を抱き締めたように見え、私は目をこすって再び彼を見た。青年は堂々と立ち上がり、やはりその背には光がまとわりついていた。  彼は聖人であったのだ。  少女を見つめる私の目も、青年を見つめる私の目も、どちらも同じであったのに、何故か見方は全く違うのだ。 END
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