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――俺は、新参者だし、よくわかんないかな。
まさか。背筋が冷たくなるのがわかった。だって、もしそうなら、何のために?
「ちょっと、おい、森也!?」
圭輔が困惑を混ぜながら叫ぶ。りっちゃんの席まで行くと、俺は彼と目線を合わせるため、かがんだ。
「スマホ見せてくれへん?」
「え?」
りっちゃんは、戸惑いながら俺を凝視した。
その視線からは、警戒の色が見て取れる。まあ拒否はしないだろう。
「大丈夫。確認したいことがあるだけやから」
「かくにん?」
頷くと、彼は仕方なく、という風に鞄からスマホを取り出した。
「おい、森也―。お前なんのつもりやねん?」
わけわからん奴やなあ。そう言いながら、圭輔が俺の隣に立つ。
メールのアイコンをタップ。
一番新しいメールは、今朝沙穂ちゃんから送られてきた連絡事項。一時間目と三時間目が入れ替わった、というものだ。
受信時刻は、八時、二十分ちょうど。ポケットから自分のスマホを取り出す。俺がこの連絡メールを受け取ったのは八時十一分。十分ほどズレがある。一斉送信のはずなのに。
青い文字で表示された、差出人「松崎 沙穂」をタップ。現れた沙穂ちゃんのメールアドレス。俺に送られている方は、「saho」から始まる少し長めのもの。
そして、りっちゃんにメールを送ったのは、「symyt」から始まる……、つい最近見た、文字列。
シャーペンを動かしながら、俺に笑いかけた、佐山。
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