1.悪戯メッセージ

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* 休み時間。後ろの席にはクラスメイトが集まった。 俺と転校生を入れても総勢七名。田舎の過疎化は深刻だ。 「前の学校私立やったん? 金持ちや」 「そんなんじゃないよ」 質問攻めに遭う新参者を、とりあえず気の毒に思う。 「ちょっとー。さっきから圭輔、佐山くんに話しかけすぎ。うちも喋りたいのに」 「はあ? じゃあアイも喋ったらええやん。なんやねん」 こういう争いの種を。 「お前ら、どっちも一方的やねん。なあ、佐山。そっちも聞きたいこととかあるやろ? 転校してきたばっかりやねんから」 静かに拾って、平穏を保つのは俺の役割だった。 「そうですね。質問、いいですか?」 ーー「ですね」? ーー「ですか」? 控えめに頷く転校生を前に、俺の笑顔は固まった。周りのみんなも、不思議そうに彼を見る。 「……なんで俺にだけ敬語?」 佐山は、きょとんと俺の顔を眺め、「ああ」と納得したらしい声を出した。 「なんか目上っぽい感じがして」 「……そう?」 「老けてるんちゃう」 「は?」 ニヤニヤする圭輔を睨む。 木南(きなみ)町立亀之湖(かめのこ)中学校。 ここは生徒数が五十人にも満たない、ごくごく小さな学校だ。 教師は3人しかいないので、彼らは何科目も掛け持ちすることになっている。 俺たちは、そんな学校の三年F組に在籍していた。 通常サイズのクラス教室に、机がわずか七台。縦に二列、横に三列、と一席。昨日まで長方形を成していたそれは、歪に変形された。 「聞きたいことと言えば、やっぱりこの奇妙なクラス名ですかね」 「ああ、Fね」 当然の疑問だと俺は頷く。 しかし転校生からの質問に誰も答えようとしないので、隣に立っていた圭輔の顔をうかがった。 「説明してやれよ?」 「えっ。俺?」 びくりと仰け反る、赤茶色の短髪男。長身の彼を見上げながら、俺は眉根を寄せた。
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