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「おーはーよー」
「もう昼じゃ、この遅刻魔が!」
翌日。それはいつも通りの光景だった。
圭輔の文句に出迎えられて、教室の中へ。
一歩踏み入れた途端、古くなっているらしい床板が軋んだ。
食材の匂いが混ざり合って、何とも言えない空気が立ち込める。
ちょうど昼食の時間らしい。みんな好き放題に机を移動させて自分の弁当を広げていた。
「森也さあ、お前目覚まし時計とか持ってないん?」
「口にモノ入れて喋んなよ、きちゃないなあ」
椅子の前脚二本を浮かせ、非常にバランスの悪い状態で座る圭輔。
その、赤茶の頭を押しのけた。
「うおあ! こけるか思たやろボケ!」
「ほんまにこかすぞ」
自分の机に鞄を置き、教室を見回す。
「……沙穂ちゃんと転校生は?」
「学校説明。昼休みのうちに済ますねんて」
「ほーん」
居ないのならそれで良い。佐山、あいつは苦手だ。
「で。森也、昼メシは」
「家で食うてきた」
「ふうん」
自分の椅子の上であぐらをかく。そんな俺を、那子が「行儀が悪い」だのなんだの言っている。いつものことだ。
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