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少女の真横に立っていたサングラスをかけて腕に龍のタトゥーを堂々と貼り付けたいかにもそっち系の男が俺の手とは比べ物にならない程大きな手で少女の顔面に拳をふるう。
しかし、倒れたのは男の方だった。
ー…………今、何が起きた?ー
少女は凛としたたくましい視線を男たちに投げる。
「……うぅ」
少女の隣で無様に横たわっていたタトゥーの男が、身体の苦痛を訴える。
「何だ……?」
リーダー核の男は唖然として、まるで子供の様な声を出した。
「分からない?じゃあ、今度は分かる様に殴ってあげる」
刹那、風が走る。
明らかに自然体じゃない生まぬるい風。
今度は俺にも何が起きたか分かった。
少女の片腕を一瞬炎が炎上し、ものすごい勢いで男の腹を叩いた。
ー腕が、燃えた?
ーいや、燃えてない
少女の腕には、火傷の跡一つ無かった。
「今の、分かった?」
振り返ると、少女は俺に問いかけた。
「な、何だ……?腕が燃えたぞっ!!この女!」
回りの男共がどよめき出す。
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