ひとかけらの石

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  サアァァァ………… 心地よい音を立てて雨が降っている。 空を屋根のように覆う雲、雷の音がゴロゴロと響く、この雨はしばらくやまないだろう。 僕は握っていた左手を開いた、中にはひとかけらの石。 一週間前は普通に過ごしていたはずなのに。こんなものを見つけてしまったから……。 不意に扉が開いて、人が入ってくる。即座に石を握りしめた。 「人間、ついて来い」 「……はい」 立ち上がって後に続く。前を行く人の頭を見て思わず嘆息する。 この石のおかげで僕の周りは……ネコミミだらけだ。  
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