ひとかけらの石

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  五日目、ついに白昼夢……いや、幻覚を見た。 部屋に透けた誰かが入ってきて、ベッドの脇に突っ立っていた。ただそれだけ。 霞のようなそれに手を伸ばした所までは覚えているけど……おそらく、気を失った。 そして昨日、轟音とあまりの寒さに目を覚ますとそこは外。ベッドの変わりに固い土の上で寝ていた。 タライどころかプールをひっくり返したような土砂降りで、周囲の状況すら掴めない。 服はガッツリパジャマ、そのポケットにはあの石。 そして何より不思議だったのは、頭痛が治っていたこと。 とりあえずは雨宿り出来る場所を、そうしたらゆっくり考えよう。 そう思って立ち上がった矢先、右肩に激痛が走った。 振り返るとそこに大柄な人が立っていた。 その人は右手に持った何かを振り上げると、迷うことなく僕の脳天に打ちつけた。 そこでさらに意識を失った。  
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