ひとかけらの石

6/17
前へ
/135ページ
次へ
  日本の家で言うかもいに頭をぶつけないよう身を屈め、男が部屋に入ってきた。 「うるさいぞ人間、わめくな」 扉をくぐり、背筋を伸ばしたその男の身丈は優に2mを越えていた。 プレイトメイル、と言うのだろうか。男は西洋風の鎧を全身に纏い、腰に剣を二本差している。明確な名前は分からないが柄から鑑みるにコレも西洋風の剣。 そして一番気になるのが、その頭から生えるネコミミ……。 流石に捕まっている身で「男がネコミミとか無いわー」って言う訳にもいかない。 「ちょっと、これどういう事ですか」 「……言葉が話せるならそうと言え」 「話せるに決まってるじゃないですか、なめてるんですか?」 男は据え置きの椅子に腰掛けるとペンと紙を取り出した。 「あー人間、名前は何だ?」 「質問に答えて下さい! どうして僕はこんな所に入れられているんですかッ!」 「知らないのか、珍しいな。性別は……女、名前は?」 「僕は男です! 名前はリョウ」 「すまんな、髪が長いんで女かと思った。姓は?」 「実名を名乗るほど僕もバカじゃありませんよ」 「……備考、反抗心大」  
/135ページ

最初のコメントを投稿しよう!

167人が本棚に入れています
本棚に追加