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「いいから黙ってやりな! あたしはね、アンタのそのスカした態度が大嫌いなんだよ! あと、そこの豚! アンタも少しは働きな! 家畜小屋に売り飛ばされたいのかい、この豚! 豚!」
男二人を顎で使う、この蓮っ葉な女の名はシスター・スネーク。
神に仕えるシスターの身でありながら、数々の犯罪に手を染めた魔性の女である。
「ぶ、豚豚言い過ぎだろうが、このアバズレ!」
「誰がアバズレだい! そんなに豚が不満なら、肉だるまとでも呼んでやろうじゃないか!」
「て、てめえ!」
「まあまあ、この美しい僕に、この美しくてエレガントな僕に免じて、喧嘩は止めたまえよ」
「うるせーっ!」
「すっこんでなっ!」
ボコスカバキッ!
「ひいいいい! ぼ、僕の美しい顔を殴るなんて! ……だが、この青あざもよく見たら美しい……!」
取っ組み合いの喧嘩を始めるホットウェルとシスタースネーク。
一人で鏡を見つめるアラス・ドロム。
これがこの三人の日常。
落ちぶれた惨めな三人のやさぐれた生活。
あまりに侘びしき、繰り返しの毎日だった。
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