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「あ、あたしらが怪盗!? よしてくれよ、柄でもない」
「俺は目立つのが嫌いなんだ。お宝の取り合いなんかにも興味はねえしよ」
すぐさま拒否の姿勢を見せる二人に、アラスドロムはキラリと無駄に歯を光らせて笑った。
「はははっ! 全く、これだから君達は! 怪盗といっても、昔みたいに義賊じみた真似をしたり、予告状を出してどうこうなんてことをする気はない。僕達は三人の力を合わせて、やりたいようにやるだけでいいのさ。僕達は元々裏社会の人間だ。情報屋なんかいなくても、自分でターゲットを探せる。奴らを出し抜いて、目にもの見せてやろうじゃないか」
アラスドロムの演説に、二人は考えこむような仕草を見せる。
「うーん……まあ、やりたいようにやって金になるなら、あたしは文句ないよ」
「ま、どうせ今はやることもねえしな。付き合ってやるか」
渋々ながらに返ってきた肯定の言葉。
それを聞いて、アラスドロムは、大きく手を叩いた。
「よくぞ決断してくれた! 今日は僕達三人の、記念すべき日となるだろう! さあ、宴だ! 美しいこの僕が、とっておきのワインを振る舞ってあげようじゃないか!」
「ま、まだ飲むのかてめえ!」
「あら、もう終わりなのかい、ホットウェル? あたしはまだまだいけるよ?」
「ああん? ざけんな! 俺だってまだまだいけらあ! おら、とっとと持って来い!」
相も変わらず騒ぎ出す三人。
だがこの決断が、これからの彼等の人生を大きく変えることになるのだった。
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