゛清らか″ 1990.夏

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“清らか” いったい何がきよらかなのか? 毎日同じ時間に一瞬すれ違う君の瞳がきよらかなのか それとも午後の日差しの中で麦わら帽子を片手に 幼な子と遊ぶYoung-mamaの姿が清らかなのか? いったい何が僕を苦しみを救うのか? 出かける前にシャワーを浴び 全身から発香する残り香が僕を浄らかにするのか “きよらかな眼差しは僕の痛みを楽にする” いったい何が聖(きよ)らかなのか? ニコライ堂にかかげられた 色あせた美的なイコンが聖らかなのか 鎌倉の梅雨明けした入道雲と 由比ヶ浜を一望する長谷寺の観音が浄化(きよ)らかなのか 一体何が“キヨラカ”なんだ? 僕を両手で包み、守ろうとする君がキヨラカなのか 肩までのすずしげなボブや 丸くて赤くて大きい君のイヤリング が似合う君の黒髪のショートや ストレートパーマを軽くなびかせる ヘアダイした君のセミロングがキヨラカナノカ? “キヨラカな視線が 僕の背中を 透明な清水をすくった一瞬のように 「シャン」とする” セックスのあとのシャワーの水を弾く君の肌色の肌が清らかなのか? キヨラカさは僕をチョッとつかまえてはピンとさせ そしてすぐどこかにとんでいってしまう         1990.夏
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