序章

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どう対処しよう。 私は銃を下に構えながら女性の動きを観察する。 女性はこちらを牽制するかのようにいつでも撃てる体制でじりじりと間合いを詰めようとしていた。 私はちらりと中心の台座を見る。 あれを上手く使えば。 私と女性は台座を真ん中に時計回りに回る。 もう少し。 もう少し。 私は乾いた唇を舌で舐める。 チャンスは一度。 逃せば後はない。 やがて台座を挟み、私と女性の体が直線に並ぶ。 女性の上半身だけがガラスの向こう側に見える。 …今だ。 私は即座に銃の安全装置を外し、台座に向かって一気に駆け出した。
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