第九章

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そこは異様な空間だった。 部屋にところ狭しと並べられている、硝子の球体。 中にはなみなみと満ちた深い青色の液体。 胎児。 少女。 老婆。 中には、身体のパーツしかないものも。 その髪はどれも金糸の髪。 「ローズか」 私の身体に震えが走る。 人が人を作り出す行為。 神に逆らいし、作られた胎内達。 そんな場所の一番奥の球体に、身体を折り曲げ、抱えながら眠りにつく、一人の少女。 その顔は、紛れもなくローズ本人。 それと、その硝子の球体ごしになにかを語りかけているエックスの姿が見られた。
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