第九章

25/36
前へ
/237ページ
次へ
球体の中の【ローズ】が目をゆっくりと開く。 水に髪をなびかせながら、硝子にゆっくりと指を触れさせる。 その指に硝子越しに触れながら、エックスはそっと呟く。 「おかえり、ローズ」 その声に安心したのか、【ローズ】は再び瞳を閉じる。 しかし、そのあと。 「目覚めよう、ローズ。 私の復讐への力となるために」 復讐? 私はエックスの言葉に首をひねる。 そのままエックスは手元の機械を何度か操作すると、フォン…と機械音が響き、中の水が一気に排出されはじめる。 【ローズ】は水の加護を失い、その場に力なく倒れ込んだ。
/237ページ

最初のコメントを投稿しよう!

1616人が本棚に入れています
本棚に追加