第九章

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「記憶を」 ガーネットはじっとそのチップを眺める。 ほんの小さなただの機械なのに。 「記憶を消したあと、クローンとして彼に意識づけるため。エックスに気づかれないため、私はローズを地下に拘束した。 そしてエックスには、不完全なクローンだから暴走を始めてしまった。そのための幽閉だと説明した。 彼はまんまと騙されたのだよ」 「…俺は」 不意にガーネットが話を遮るように声をあげる。 「俺は、エックスも許せない。 だけど、G。 あんたも結局は同じことじゃないか? 目的のために、ローズ姫を利用したことになる」 ガーネットはぐっと拳をにぎる。 パキンと手の内で、チップが壊れる音がした。
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