第九章

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暗闇にジープのエンジン音が響く。 「準備はいいか。ガー君」 ジェイが運転席から声をかけてくる。 後部座席にどんと座ったまま、ガーネットは無言で手をあげた。 「ジェイ」 そばにいたGがジェイの横に近寄り、耳打ちをする。 「ローズを、頼む」 「G」 「君は本当に、彼女の唯一の身内なのだから。血は繋がらないがな」 その言葉に、ジェイは小さく目を見開く。 「G、それは」 「わかっておる。ガーネットにも。ローズにも内緒内緒」 唇に人差し指を立ててGが微笑む。 「…大丈夫ですよ。もう、彼女の手を離さない。 そう決めたのは俺ですから」 そう呟き、ジェイは軽く手をあげる。 そしていきおいよくジープを発進させた。
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