第九章

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丸い球体の中で眠る彼女。 そっと、硝子に指を添える。 Gにより助けられた彼女は、ヒューストンから搬送されたゆりかごで、傷の完治を眠りながら待っていた。 ふと、彼女が瞳をうすく開く。 触れていた指に重ねるように、自分の指を添えると、彼女は花のように笑う。 多分、意識の混濁した状態で、自分がどこにいるのか、相手がだれなのかもわからない状態で。 それでも彼女は笑う。 それは昔の彼女の笑顔そのままで。 ジェイは彼女を見つめながら、優しく呟いた。 『おかえり。ローズ』 ……それは、過去の記憶。 手放したくない、大切な人との再会。 再び、その笑顔を取り戻すため、二人はローズを救う任務へと飛び出した。
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