第十章

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複数のジープが暗闇の道をひた走る。 私は、エックスとドン・ラビンの乗るジープの後ろに膝を抱えたままうつむいていた。 頭の中は真っ白でなにも考えられない。 彼らがなにをするのかは理解している。 それは殺戮。 それは殺しあい。 止めなくてはならないことなのに。 なぜか私は動けない。 持っている銃で二人の後頭部を撃ち抜けばいい。 なのに。 動けない。 空には満天の星空が広がっているのに。 私の心は星ひとつない暗闇のままだった。
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